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「もう良いよ。話すの怖かったろ? もう良いよ」
どうやったら泣き止んでくれるんだろう。
そっと手を伸ばして綺麗な髪に指を通した。さらり、と指の間を抜けていくそれは絹糸のようだと思った。
「深海も、泣いてる?」
「ルナが泣いたから、もらい泣きってヤツかな?」
ごまかすように目を擦って、ルナの頭を軽くぽんぽんすると
「怒ってない?」
と不安そうに見つめられて苦笑した。
「うん。怒るより、びっくりした。ちゃんと話してくれたから……もう良いよ。裏切られたなんて思ってないし」
そう言うとルナは心底安心したというように眉を下げて笑った。
「信じてくれる?」
「そりゃ……まぁ。猫のルナに言った事を言われたら……信じるしかないかなぁ」
それにいくら姿が変わっても、美しい金眼は変わらない。
「だからもう泣くな」
もう一度頭をぽんぽんして笑いかけた。
「深海、やっぱり優しい」
ルナが細い指を伸ばして俺の頬に触れた瞬間、派手な音を立ててルナの腹が鳴った。
「あわっあわわ!」
真っ赤になって腹を抑えたルナが可愛くて、つい吹き出す。
「なんか食べよう。俺も腹減ったよ。食べながら話そうぜ?」
「うん! 俺アレが良い! 柔らかいの!」
柔らかいの? 柔らかいのって……何だろう?
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