初めて二人で摂る食事

3/4
前へ
/317ページ
次へ
 と丁寧に頭を下げた。 「色々と聞きたい事があるんだよなぁ」  もやしとキャベツを一緒に口に放り込んで呟く。 「俺も。なんで泣いてたの? ボッチって何? 友達にイジメられてるの?」  そう言われて、自分が晒した醜態を思い出した。 「いや、違う……」  あまりの情けなさと恥ずかしさに、ついごまかそうとした。 「俺はちゃんと深海のホントが知りたい。でも……話したくない事なら聞かない」  言い切ると、また皿に向かって小さく尻尾を揺らしながら、とろみスープ仕立てに顔を突っ込んだ。 「美味いか?」 「美味しい!」  即答に笑ってしまう。 「いつもは何食べてんの?」 「深海が食べてるのと大して変わらないよ。お野菜煮たのとか、お魚焼いたのとか。果物とか」  なるほど。食生活はあまり心配いらないかも知れない。 「薄味でねぇ、紅蘭(こうらん)が作ってくれるご飯はすごく美味しいよ」  薄味に慣れているからキャットフードが美味いと思うのだろうか。  猫の健康を考えてキャットフードは極薄味だと何かの番組で目にした記憶がある。     
/317ページ

最初のコメントを投稿しよう!

753人が本棚に入れています
本棚に追加