ルナとシャンプー

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 鳴き声が少し得意そうに聞こえるのは何故だろう? 遅刻ギリギリまでジャレて、顔中舐め回されて、俺も身体中撫で回して、ルナをしっかり堪能した。  小さなルナは俺の片手で簡単に床の上をころりころりと転がされる。それが楽しいのか、手首に前脚をかけて、自分からもゴロゴロぐにぐに動いて遊んでいる。  可愛すぎる……! 痛くない猫パンチも力の入っていない噛み噛みも、たまに空を蹴る猫キックも……はしゃぎ過ぎてハァハァしてる呼吸も!  癒しだ。俺の癒し。昨日連れて帰って良かった!  あー、早く帰りたい。もう帰りたい。  大学に向かう途中の電車の中でも、講義中も頭の中はルナでいっぱい。  首輪は何色にしようか、キャットタワーってヤツは必要か、専用の餌皿も要るな。バイト代、ヤバいな。でもルナが喜んで遊ぶんなら買ってやりたいけど……。  気付いたら講義は終わってた。  学食でカレー食べながらもやっぱりルナの事を考えてしまう。 「なー亮平、今日買い物付き合ってよ」 「あー? ワリ。今日野暮用」  彼女と一週間ぶりにデートだそうな……ちっ。せっかくルナを見せびらかしてやろうと思っていたのに。  亮平に頼れないとなると、他の友達は遅くまで講義だったりサークルだったりで、一人で猫セットを抱えて帰るのは無理そうだ。  せめて最低限必要な物だけは揃えてやらねば!     
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