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痛い記憶
「最近お前付き合い悪い」
そんな事を言われて、ルナを拾ってからの自分を振り返る。
大学にはもちろん行く。
講義もマジメに受ける。
学食で飯食って、午後からの講義があれば出席して、終わったらソッコー帰ってルナの様子を見て、飲み水や餌のチェックをしたらバイトがある日にはバイト。
ない日にはルナを膝に乗せて勉強。
一日の〆にはルナの身体をブラッシングして、一緒に寝る。
それが幸せ過ぎて、サークルにも飲み会にも顔出ししていなかった。
「あー、ごめん」
「で、さ! 今夜合コンするから来いよ! 可愛い子来るぞ?」
可愛い子ねぇ……。
「んーごめん。やめとく。他誘って」
ただでさえ女の子と付き合いたい欲求がなかったところにルナが来て、俺は賢くて大人しくて癒しの源のルナに夢中で。
ルナ放ったらかして合コンなんか行っても楽しめないに決まっている。
「んだよ。ついに女でもできたのかよ?」
「そんなんじゃねぇよ」
女、か。
ルナが女だったら……いや、あいつオトコノコだった……ルナが人間だったら……良かったのにな、なんてほんのちょっとだけ思う。
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