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白い花びらが。自分が今見下ろしているものは、穏やかな木漏れ日にはそぐわない筈の光景。けれど目が離せない。赤い流れに薄い花びらが重なっていくのを、自分は茫然と眺めていた。その人の胸から流れ出た血は日の光で温められ艶やかに輝いている。それはやがて柔らかな地面に吸い取られて消えるだろう。
僕は、何てことをしたんだ。自分を宥める為の良い訳をいくつもいくつも考えたが、どれもこの状況の説明にはならない。理由が分からないんだ、自分でも。ただ、人気のない校舎裏、橋本さんに呼び出された僕は、彼女からあるものを受け取っただけだった。
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