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二学期の野外学習でそれは起きた。彼女の同部屋の女子たちが彼女の髪を切った。本に目を落とした彼女が、垂れた髪の幾筋かを掻き上げる仕草を僕は今も覚えている。黒くて艶やかな彼女の髪を、女子たちが切り落とした。鋏で刈り上げるのを途中で断念したかのように、乱雑な頭髪で彼女は宿泊センターのロビーに現れた。もちろんこれは大きな騒ぎになり、この事件をきっかけに彼女への虐めは教師たちの 目にも明らかになり、暴力的なものやあからさまな暴言は幾分か和らいだのだと思う。しかし、それ以来彼女の髪は男子のように短いままだった。その髪型も似合ってはいたが、それを見る度に自分は罪悪感に苛まれた。あの、長い髪の、屈託なく笑う女の子は、好きな作家のことで僕と喧嘩した彼女は、二度と戻っては来ないんだ。
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