桜の妖

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桜の妖

 ――ああ、本当に、どうしようもなくつまらない。  桜の木として生を受け、何の縁故か、私は桜の“妖”になった。  人の子からは見えないので、幾度となく話しかけても無視されてしまう。  その私は、今こうして自身の身体とも言える桜の木の枝に寝転がっているが。  それでも、退屈なモノはどうしようもない。
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