桜の妖

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 上から毛虫達に指示を下した私が見ているのは、必死に逃げている若い男女の姿だ。  ああ、愉快でたまらない! たまにはこうして無礼な人間に罰を与えるのも悪くはないな。  でも……そうだな。折られた枝をどうするかが問題だ。  私は妖とは言え、この桜の木からは離れられない。  それが例え一寸程度であってもだ。だから私は枝をあいつ等が落とした枝を拾うことはおろか。  木から降りる事すら叶わない。  なんと悲しい生だろうか。  ……いや、そもそも桜の木であった私がこうして人の身体を手に入れていること自体が奇跡なのだ。  それ以上の欲を言ってしまえば、私に罰が当たるかもしれない。
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