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「……ありがと、じゃあ、貰うね」
その小童は私が予想していた反応とは正反対の反応を見せて、落ちた枝を拾った。
「……なんだ、つまらん」
「え?」
「あ、いや……気にするな」
思わず声に出てしまったか……まあ良いだろう。
というか、何故この私がたかが人の子ごときでここまでしないといけないのだ?
「……お姉さん、ここでずっと何をしているの?」
何の話を振って来るかと思えば、そんなことか。
そんなこと、訊くまでもないことだろうに。
まあ……答えてやるとするか。
「私はここで日がな一日、私自身の『桜の木』を見守っておるのだ」
「ずっと?」
「そうだ、ずっとだ。雨に打たれようが、風に吹かれようが、嵐が来ようが……。私は『私』から離れられないのだ。それが妖と言うモノよ。それが人とは違う生き物よ」
「そうなんだ……じゃあ。僕と同じ独りぼっちなんだね」
「……なんだと?」
その言葉を聞いて、私は少々違和感を覚えた。
人の子が独りぼっちだと? ――どういうことだ?
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