第一章:「時間の神」

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「はぁっ、ひぃっ、はひぃっ……お、おいついた……」 「なんだ、ランドン! 女の子にも追いつけずに、そんなに息きらせてるとは。  なさけないじゃあないか!」 「む、むちゃ、いわないでくれよオヤジ……ミデン、足、はやすぎぃ……」 かわいそうになるくらいへろへろになってあらわれ、へたりこんだのは ミデンを呼びに行ったというアッカーソンの息子だ。 呼吸するのもやっとな彼には目もくれず、少女――ミデンは汗もかかず いたって無表情に、ちくちくとアサガに釘をさす。 「上にあるものは、落ちる。閉じるものは、挟む。回るものは、巻き込む。  慣れてこそ、安全確認は怠るなと教えたはず」 「いや、その、はい……ごめんなさい」 「いやいやいや嬢ちゃん、そんなに坊主にキツク言わんでやってくれよ!  俺が悪いんだ」
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