第一章:「時間の神」

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ようやく息を整えたランドンのその言葉に、アサガはぎくりとした。 ミデンはすっぽりと上半身を覆うポンチョに身を包み、下も足首まで隠れる ゆったりとしたスカートを履いている。たしかに、見ているだけで 暑苦しくなるその格好でも、彼女は汗ひとつかいていないのだが…… 「あ、いや、ミデンは……」 「おいランドン、さっさと馬を荷車につないでこいや」 「人づかいあらすぎだろぉ!?」 ぶつくさと文句を言いながらランドンが馬小屋の方に姿を消す。 ほっと胸をなでおろしながら、立ち上がろうとする。 「ええと……」 「? なんだ、アサガ」 目を覚ましてから一度も表情を変えていない少女は、声音だけ不思議そうにして たずねかえす。 アサガは内心苦笑いしながら、彼女に頼んだ。 「できれば、手を貸してくれるとうれしいかな」 「ふむ。……そうか。  倒れているときは、手をさしのばすものなのだな? ――人間は」 ・・・
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