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ようやく息を整えたランドンのその言葉に、アサガはぎくりとした。
ミデンはすっぽりと上半身を覆うポンチョに身を包み、下も足首まで隠れる
ゆったりとしたスカートを履いている。たしかに、見ているだけで
暑苦しくなるその格好でも、彼女は汗ひとつかいていないのだが……
「あ、いや、ミデンは……」
「おいランドン、さっさと馬を荷車につないでこいや」
「人づかいあらすぎだろぉ!?」
ぶつくさと文句を言いながらランドンが馬小屋の方に姿を消す。
ほっと胸をなでおろしながら、立ち上がろうとする。
「ええと……」
「? なんだ、アサガ」
目を覚ましてから一度も表情を変えていない少女は、声音だけ不思議そうにして
たずねかえす。
アサガは内心苦笑いしながら、彼女に頼んだ。
「できれば、手を貸してくれるとうれしいかな」
「ふむ。……そうか。
倒れているときは、手をさしのばすものなのだな? ――人間は」
・・・
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