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もっとも、同居人である少女……ミデンが彼の孤独を癒してくれるのに
適切な人間だったかは、いささか疑問ではある。
アサガの視線に気づいた彼女はやはり頬ひとつ動かすことなく、何を考えているのか
わかりづらい顔でじっと彼の顔を見つめてきた。
すこしばつがわるくなり視線を外す。と、その先には大きなくぼみが見えた。
自然にできたとしては不自然な、しかし人間がつくるにも大きすぎる台形の穴。
「48.539t」
「え?」
ぽつり、とそれまで黙っていたミデンがつぶやく。
「足跡の面積、深さ、および周辺の地面の固さから算出される
対象の重量。時に、必要となる情報だ。覚えておいた方がいい」
「……」
もともと無機質な彼女の声音が、その時はことさらに冷たく聞こえた。
アサガはそっと、その足跡からも目を離し、空を仰いだ。
・・・
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