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急にわきあがった恐怖が、急にふきとんだ。
アサガは岩が落ちる轟音も、自分の心音さえ耳に入らなくなった。
それほどまでに――現れた存在に、目を奪われたのだ。
陶磁のように白く透けた、美しい肌。
蒼い瞳は深い海のように輝き、のびた髪は光をまき散らすように白くたなびく。
鉄人形の中からあらわれたのは――彫像のように美しい、少女だった。
するり、と少女の視線が自分の視線とまじわったのを、アサガは感じた気がした。
これまで少年が見てきたどんなものよりも美しい彼女は、一文字に結ばれた唇を
開いて――
・・・
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