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「――アサガ! 起きろアサガ!」
――しぱしぱとまぶたを瞬かせて、アサガは目を開いた。真昼に上がりきった
太陽が目を刺し、痛いくらいに視界が白くなる。
「ああ、アッカーソンさん。ええと……おはようございます……?」
「おいおい、大丈夫かね? 意識はちゃんとあるか?」
言われてみると、頭がくらくらしている。ずきずきと痛む後頭部をさすり、
なんとか寝る前のことを思い出してみる。
「……ああ、はい、大丈夫です。思い出しました……」
「いや、すまんかったな。水車の修理を頼んだというのに」
ひげを生やした体格のいい中年がひらひらと木板をあおいでばつがわるそうに
謝ってくる。その板をみながら、ちらりと横に視線を動かす。
アサガはアッカーソンの持つ水車を修理していたのだ。
その際、堰の水門を閉じてもらって動きをとめ、下に潜り込んで様子を見たのだが。
「板がうまくはまってなかったんだなあ。外れて水が流れ込んじまうとは。
羽根板がまわっておまえさんの頭を弾き飛ばした時は肝を冷やしたが、
いや巻き込まれなくてよかったよかった!」
「ははは……」
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