855人が本棚に入れています
本棚に追加
/611ページ
少佐が絵麻を心配そうに覗き込んでいる。
あれ、少佐……。
絵麻はまだ半分夢の中にいるような目で少佐を見上げる。
「うなされていましたが、大丈夫ですか……?」
「ここは……」
マルベリー子爵邸にしては随分とモダンな感じがする。
「僕の家です」
はっ、と絵麻が身を強張らせる。
道理で見覚えがあると思った……。
「よく眠っていたので、起こすのも気が引けて」
「……」
起き抜けの頭で絵麻が必死に考える。
今どういう状況だろう……。えーと、あっ、そうだ。私、さっきまで少佐とお花見デートしてて……。
あっ、やだ……ウフフ……。
甘い記憶が胸に蘇る。
それで、少佐がいっぱいハグしてくれて……最後にチョコバナナ食べて……お腹いっぱいになって……それから、帰りの車の中でうとうとして……。
「……」
多分、いや間違いなく、そのまま熟睡してしまったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!