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少佐はベッドの縁に腰を下ろし、仰向けのまま真顔になったりうっとりしたりと独りで忙しそうな絵麻をしばらく目の中に包んでいたが、やがて呆然と宙を見つめ始めた絵麻に向かってすまなさそうに言った。
「病み上がりなのに、無理をさせてしまってすみません……」
「い、いえ、私こそ……」
慌てて身を起こそうとする絵麻に少佐がそっと手を添える。
「……怖い夢を見たんですか」
そう訊ねる少佐は無意識にか、もう軽く両手を広げている。
絵麻は何の躊躇もなくその胸に飛び込んだ。
「――はい。よしよし」
(short.ver完)
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