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「ヒッ……!」
絵麻が叫びながら身をよじる。
男がむくりと起き上がり、逃げようのない絵麻の髪を掴む。
「止め……」
男はお定まりの懇願を無視して絵麻の上半身を乱暴に引き起こし、丸い柱に背中を押しつける。
「イヤ……!」
男が手錠につながれた鎖を引くと、絵麻の腕が手錠ごと大きく持ち上げられる。男はそのまま手錠を柱の鉤にかける。
「止めて……」
男は構わず慣れた手つきで絵麻の体に鎖を回し、絵麻を柱に固定した。
手首の擦過傷。体に残る鎖の跡。絵麻の心臓がドクンと鳴る。
男が無言で絵麻を見下ろしている。
特徴のない童顔。小柄な体。理学療法士の制服のまま、ネームプレートもつけたまま。
やがて、男が口を開いた。
「君、歳いくつ」
28。
返事は声にならなかったが、聞こえたようにがっかりした顔をする。
10代でなければ駄目なのだ。
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