第1話

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第1話

〇真っ暗な空間(仮想空間)    漆黒が広がる、ただ何もない場所。    不気味なくらい静かだ。そこに、ピピピ、と電子音が響く。    それに合わせて、辺り一面をくどいくらいの青色が埋め尽くしていく。しばらくし    て空に白い靄(雲)が生まれる。やがて家々が発生する。それはまるで世界が創造    されていくようで―― 〇映像部・部室    ――と、言う様子が巨大なスクリーンに表示されている。    乱雑とした室内。パソコンやプロジェクターが並ぶ。    一見、現代とそう変わらない機材が並ぶが、室内の一角に謎の大きな装置があり、    そこに蓋のついたガラス管がカートリッジのように装着されている。(装置の名    は、フォトンモデリングシステム。以下、PMS)    日暮亜美(17歳)と映像部部員達がいて、 部員A「フォトン散布開始。背景描写完了」 亜美「この空、ちょっと青すぎない? もうちょい自然な色にして」 部員A「了解、日暮部長」    部員A、キーボードを操作。    それに合わせてスクリーンの空が自然な青色へと変化する。 亜美「うん、良い感じ」    亜美の隣には、小田誠(17歳)。 亜美「小田君、モデリングのほうは?」 小田「準備完了だぜ」       小田、ポケットからガラス管を取り出す。 小田「それでは、この映画の主役の登場ですな」    ガラス管には光の粒子(フォトン)が詰められている。    小田がガラス管を振ると、粒子のひとつひとつが光り輝く。幻想的な物質だ。    それをPMSにガチャリと装着。 〇青空(仮想空間)    光が溢れ、光は何かを形作っていく。    丁度、戦闘機のような形だ。    そして形作られた何かが、徐々にふよふよ浮かんでいく。
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