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その日の授業が終わり仲間と一緒に帰る栗名を、涼は堂々とつけていった。本を片手に持ち、隠れるでもなく、真後ろにくっついて歩いた。さすがに怪訝に思ったのだろう、栗名と仲間たちが涼の方を振り返った。
「佐藤、俺らに何か用?」
栗名の仲間1号がでかい身体で涼を見下ろした。涼も一七〇センチはあるので、上目遣いに1号を見上げた。
「栗名くんを貸してくれませんか?」
単刀直入に言うと、1号は言われた意味が分からなかったみたいできょとんとした。涼はもう一度言った。
「君たちの友達、栗名紅葉くんを僕に貸してください」
「おい、栗名はモノじゃねーぞ。てかお前誰だよ」
涼より小柄な体型の仲間2号が割って入った。今にも掴みかかりそうな険しい顔だ。
「僕は君たちと同じクラスの佐藤涼といいます。よろしくお願いします」
「そんな人間いたかよ」
「スズ、ちゃんとクラスメイトの顔は覚えないとー」
仲間3号の声が、少し可笑しそうな意味を含ませて聞こえた。
「うるせえ、お前も覚えてないだろ」
「俺は女子と男子十名は覚えたぞ」
「半分もいってねーじゃん」
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