私は君のために。君は私のために。

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突然ですが、 今から飛び降り自殺をします。 ちょっとえっ?って思いました? 嘘じゃないんです。 冗談じゃないんです。 私はゆっくり柵に手をかける。 屋上の柵を超えると生暖かい空気が 頬に触れる。何人かの生徒がまだ残って いるのだろうか?女子の恋バナの声が 聞こえてくる。気持ち悪い。 「あんた何が出来るの?」そう親に言われる日々も 全部…全部あと1本踏み出せば終わる。 「何も取り柄のない子でごめんね…」 そう言って飛び降り… ようとした寸前に誰かが私の手を掴んだ。 ?「うぉぉぉい!?何してんの?」 「はぁ?誰や?」 それが私がそいつに掛けた最初の言葉だった。 こんな田舎の学校。 しかも夜に近い夕方の校舎。 「誰もおらんけん大丈夫」 油断した私が悪い。 悪い…けど。 「なんで止めるん? あとちょっとで死ねるとに!!」 ?「はぁ?お前目の前で飛び降り自殺 しようとしてる人を見捨てろと!? 無理無理。とにかく柵の内側に戻ってこい!」 無理矢理手を振りほどこうとしても 謎の(?)強さで振りほどけず… 結局戻るはめになりました。 ニヤニヤしてるし… なんやねんこいつ。 私は落ち着いて改めて聞く。 「誰や?」 ?「誰でしょう?」 イライラが増す。 ?「1つ聞いていい?」 「何や」 ?「なんで死のうとしたん?」 「あんたには関係ないやろ。」 ?「え~。教えてよ。絶対誰にも言わないから~」 イライラがMAXになったと同時に 何かの糸が私の中でぷつんと切れた。 「関係…ない…やろ」 ?「うん。」 どんどん声が震えるのが分かる。 優しすぎるそいつの声。久しぶりに まともに話す人。 「私ね…なんの才能も無いんよ。」 自然と話したくなった。 「勉強も運動も音楽も美術も家庭科も… 何やっても人より出来るもんが無いとよ。」 「何やっても失敗するとよ」 ふと親の声が…学校の先生の声が頭をよぎる。 「……お前は何ができるの?」 そいつはただ一言。 ?「うん。そっか」 静かな沈黙。私は涙がぼろぼろ溢れ出した。 するとその沈黙を破るようにそいつは 私の体を抱きしめ頭を撫でだした。
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