プロローグ

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「「人を殺してみたい」」 そう思い始めたのがいつの頃からだったかはよく覚えていない。 ただ、人を殺したい、殺してみたい、という感情は今も確かに存在している。 しかも、昔から抱いているこの感情が日に日に大きくなりつつある。 私は不安に駆られていた。 一つ言っておくが、私は精神異常者でなければサイコパスでもない。 一般的な常識はある。やって良いことと悪いことの区別ぐらいはつく。私はいわゆる、「普通の人間」である。 だから、人を殺すことが悪いことであることもよく分かっている。 しかし時々、「人を殺してみたい」という感情を抑えきれなくなりそうになるのだ。 私はその瞬間が、たまらなく、怖い。 心では人を殺すことを否定しているのに、感情が私を支配していく。 いつ、何がきっかけでこの感情が暴走し始めるか分からない。 私は自分自身に怯えながら生活していた。
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