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宇宙から飛来した地球外生命体の亡骸を人類が発見してから数年後、同生物マガツヒが地球に襲来してきたことにより、人類は存亡の機に立たされた。人類は種を存続させるため、複数の箱舟に乗り込み移住の地を求めて宇宙を彷徨っていた。その方舟の一つであるアメノトリフネは、地球脱出から百年以上経った今もマガツヒの広大な生存圏から抜け出せず、マガツヒとの戦いに明け暮れていた。
その方舟では、人間と亜人が共存している。人々は十四歳の年に知能や潜在能力等を計測され、その優劣が優・良・可・不可に分けられ、人間か亜人かが判明する。優以外は亜人であり、不可の亜人は殺処分とされ、良の亜人は人間の繁殖に用いられることもあった。
白鞘ジンヤは良の亜人だった。まだ人間も亜人も区別のなかった頃は人類の発展のためだけに教育を受けていたが、今は人間の番として相応しい亜人であるよう教育されていた。周囲の番用の亜人は、人間の役に立つことや人間に庇護されること、人間と亜人とを繁殖させることで幸せを得られると刷り込まれていたが、ジンヤはそうではなかった。幼い頃から兄のように慕っている人間の千藤ヒロトに、人間も亜人も実は変わらないこと、アメノトリフネ以外にも方舟があってそこでは人間と亜人の別がないかもしれないことを聞かされていたからだった。
ヒロトに教わることで、閉塞的な亜人の世界から可能性に溢れた人間の世界を垣間見、ジンヤは人間として生きたいと夢見るようになる。その夢はヒロトと一緒にいることで達成されると、ジンヤは根拠もなく信じていた。しかしジンヤが十六歳になる頃、ヒロトは病気で夭逝してしまう。
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