野ざらしの、

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野ざらしの、

「桜の木の下には、死体が埋まっているんだよ」 真夜中 公園 缶チューハイ ベンチ 月 僕 彼 桜 彼の言葉に、まだ半分残っているチューハイを落としそうになりながら、「は?」と妙に高い変な声を出してしまった。 酒が入っているとはいえ、こんな状況で、夜中にこんなこと言い出すのはやめて欲しい。 それに彼は、僕がこの手の話を苦手だと分かっているはずなのに。 「ふふ、なに焦ってんだよ」 いたずらっぽく笑った彼は、馬鹿にしたようにそう言って2本目のチューハイを飲み干した。 「お前が急にそんなこと言うからだろ」 そう言いながら、誰もいないとわかっているのに後ろを振り向いてしまう。 怖い話を聞くと背中が気になるのは怖がりの性だ。それに、よりによってこの公園で一番大きな桜の木は、僕らの背後にたっている。 「よく言われる話じゃん。聞いたことないの?」 「あるよ、そのくらい。でもそんないつも覚えてるわけじゃねぇんだから、こんな状況で思いださせるなよ。」 「怖がりは昔から変わんないな。」 「うるせーよ。」 そう言って僕も、手の中の缶チューハイを飲み干した。彼はもう3本目に手をつけている。 時間は深夜の1時を回ったところだ。     
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