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足が重い。
やっと学校に着いた。
足が重い。
靴脱げそう。
取り敢えずどっかで休憩したい。
あ、丁度いいところに桜の木。
座りやすそうな根っこがある。
ちょっとだけ休ませて。息切れが止まらない。
はあああああ。
幹に後頭部が当たる。ごりごり木の肌が痛い。
でも寄りかかるところ無いと倒れそう。
あ。
ずりずり……ころん。
倒れた。
土のひんやりが気持ちいい。
泥汚れ?気にしない。
今はこのひんやりがたまらない。
「こら、転がるな、却ってきつくなるぞ呼吸。」
いつの間にか私の前から消えていた先輩が目の前にいる。
「少しだけ……休ませて………下さい。もう無理。」
はああああ。
まだ呼吸が荒い。喉痛い。
「ほら。」
つめた!
顔に押し当てられたのは冷え冷えのウーロン茶缶。
「飲め。」
「ありがとうございます。」
すうっと風が通り過ぎる。
同時にふわっと桜の花びらが落ちてきた。
缶にピタリと張り付く。
きれい
よく見たら、自分のいるところ、花びらの褥。
うっすらと見上げれば桜の花が、ひらりひらり。
「願わくは花の元にて春」
「死なれたら困るわ、ボケ。たかだかブラバンのランニングぐらいで」
あ、そこイタイです。
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