3/9
前へ
/9ページ
次へ
足が重い。 やっと学校に着いた。 足が重い。 靴脱げそう。 取り敢えずどっかで休憩したい。 あ、丁度いいところに桜の木。 座りやすそうな根っこがある。 ちょっとだけ休ませて。息切れが止まらない。 はあああああ。 幹に後頭部が当たる。ごりごり木の肌が痛い。 でも寄りかかるところ無いと倒れそう。 あ。 ずりずり……ころん。 倒れた。 土のひんやりが気持ちいい。 泥汚れ?気にしない。 今はこのひんやりがたまらない。 「こら、転がるな、却ってきつくなるぞ呼吸。」 いつの間にか私の前から消えていた先輩が目の前にいる。 「少しだけ……休ませて………下さい。もう無理。」 はああああ。 まだ呼吸が荒い。喉痛い。 「ほら。」 つめた! 顔に押し当てられたのは冷え冷えのウーロン茶缶。 「飲め。」 「ありがとうございます。」 すうっと風が通り過ぎる。 同時にふわっと桜の花びらが落ちてきた。 缶にピタリと張り付く。 きれい よく見たら、自分のいるところ、花びらの褥。 うっすらと見上げれば桜の花が、ひらりひらり。 「願わくは花の元にて春」 「死なれたら困るわ、ボケ。たかだかブラバンのランニングぐらいで」 あ、そこイタイです。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加