21人が本棚に入れています
本棚に追加
「気に入ったよ、その根性。今日からお前は俺の彼女。」
「はい?」
誰がそんなこと望みましたかね?
「俺が望んだ。俺の横に並ばせてやるよ。ライバルとしても彼女としても」
か、彼女?
先輩の?
私、彼女?
ライバルだけで十分です。
イケメンマリモを彼氏にしたって末路は哀れじゃない?
それにだな。
「その俺様なところ、私が嫌うとは思わないんですか?」
ダサダサ先輩め。
あまりにも急展開でしょうが。
私は一週間前までは、まだ中坊だったのに。
だめだ、めまいがしてきた。
低酸素状態だ。
「思わない。むしろお前は喜ぶね。
俺がいつでも隣にいるんだから。」
やなやつだ。
ほんっとにやなやつだ。
心臓のバクバクが止まらない。
先輩がいつでも隣にいる。
いつでも?
どうしよう。マジで今日から先輩の、か、彼女?
先輩のじわりと引き上がる口の端。
あれ?
なんでかな?
なんだかいやな予感。
「落ち着いたならもう一周いくぞ」
あー、やっぱり?
そう来ると思いました。
先輩が先に立ち上がり、手をさしのべてきた。
「俺の隣に並んで走れるようにならないと。
テクって言ったって最終的にはどんだけ吹き込むか、だからな」
しょうがない。
私も手を伸ばす。
宣言しちゃったんだもん、取り消しは聞かない。
今。
最初のコメントを投稿しよう!