何度目の、朝に

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何度目の朝を迎えるのか。 おはようとさよなら。繰り返すのは運命。 朝日がブラインドから差し込み一筋の光を差した。心地のいいまどろみの中、遠くからシャワーの音が聞こえると私はまたかとため息をついて白いシーツから顔を出して腕で目元を隠すようにしながら差し込んだ朝日をぼんやりと眺めた。 低血圧の為、朝起きるのにかなり時間がかかってしまうのは彼も分かってるからこうやって放置してシャワーに行ってしまうのだけど。 ベットの脇に置かれたテーブルの上に煙草の吸殻が2.3本残っているのは久しぶりだなと思いながらゆっくりと身体を起こしてすぐ側に落ちていた彼のシャツを手にして躊躇することなく何も身につけていない素肌にそのまま羽織る。 テーブルの上に置きっぱなしになっていた彼の愛用のシガレットケースから1本拝借してマッチで火をつけた。彼、曰く電子ライターは所詮作られたものだから、味が悪くなると言う。 私にはその味の違いは残念ながら分からないけれど彼の作る巻きタバコは好きだ。大分前から禁煙に成功した私でも彼の巻きタバコは凄く魅力的で、思わず手を伸ばしたくなる。否、いつも伸ばしてしまうのだけど。
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