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戻ってくるのが遅い私を心配してきてくれた彼と一緒に部屋に戻れば、香ばしい匂いが漂ってくる。私の好きなフレンチトーストの匂いが鼻腔をくすぐった。
「好きだよ。」
「知ってるよ。」
「夜ご飯は和食がいいな、お昼はオムライスね」
「オムライスはお前が作ってくれるんだろ?」
勿論だよと返事をしてフレンチトーストが置かれたテーブルについてフォークに手を伸ばした。彼もそれをみて同じ行動をとった。
「そのルームウェアどう?」
「んー、私には勿体ないくらい可愛いよ」
口に運んだフレンチトーストを味わいながらも単調に答えた私にもう少し気持ち込めてもらっていいかなと苦笑いをする彼もフレンチトーストを口に運んだ。
窓が開けられていて風が吹いた。ブラインドが揺れてカラカラと音が聴こえるほど静かになった。
好きとも嫌いとも言わない私たちの関係は脆く儚くて、繰り返されているようで繰り返されていないまるで不安定なシーソーに乗っているよう。どちらか一方が歩み寄ってしまったら壊れてしまうそんな気がした。彼の美味しい料理が食べれなくなるくらいならあやふやな関係のままでもいいと思ってはいるのだけどほんの少しだけ彼に歩み寄ってもバチは当たらないと思うの。
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