第三章「Inteligent Innovator」

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第三章「Inteligent Innovator」

数日後、回収したタブレットの持ち主と柴波純一郎は同一人物であることが判明する。柴波純一郎はMELROID開発チームの元一員でMELROIDの行動アルゴリズムに関する論文をいくつも発表していたが、ある日、MELROIDに関する重要機密データを持ち去って行方をくらませてしまった。その際、柴波は研究データとともに試作段階にあった次世代型のMELROID本体も持ち去っている。現在、柴波は警察・MSTともに秘密裏に捜索しているが、その消息は依然として不明であった。MST上層部は、今回の一連の暴走事件と柴波純一郎に何らかのつながりがあると考え、柴波を全国に指名手配しての公開捜査を行うことを決定する。その日、ユウトは父の友人にして、MELROID開発チームの現開発総責任者の倉間から連絡をもらう。倉間の屋敷に招かれ、ユウトは倉間と父について回想する。ユウトの父・レイジは先代のMELROID開発総責任者であり、MELROIDの普及に大きく貢献したが、出張先で試作MELROIDの試験中に暴走事故が発生し、その際に命を落としてしまう。倉間はレイジの意思を継ぎ、今もMELROIDの安全性を向上させるべく、日々研究に励んでいる。そして、ユウトは柴波純一郎について倉間に尋ねる。倉間によると、柴波は優れた研究員ではあるが、MELROIDに欠かせない安全性よりも人工知能の思考や機体の動きの効率を高めることを重視しすぎるために、開発チームでは倉間と対立しがちであった。「あいつは、自分の才能を認めさせるなら、何だってするさ」と倉間は言う。すると、応接間の隅に控えていたメイド型MELROIDが突如異常な動きを見せ、部屋に飾られていた小刀を持ち、倉間に襲い掛かろうとする。ユウトはとっさに倉間をかばう。寸前のところで、MELROIDは突如停止する。同時に、部屋の中に倉間の屋敷の執事が小さな機械を持って入ってくる。それは、一定範囲内のMELROIDを強制的に停止させる装置であり、倉間が今回の事件の対策に開発していたものだった。倉間は、その装置をユウトに託し、事件を早急に解決してくれと頼む。
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