第四章「Terrible Riots」

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第四章「Terrible Riots」

倉間に会った次の日、ユウトがMST本部で柴波の書いた論文等を調べていた。そのうちの一つ、「MELROIDによる故人の追憶」と書かれている部分に目が留まる。そこには、「生きた人の脳をスキャンし、脳波パターンを解析し、過去に収集された個人情報から再現される記憶と統合させることで、その人間の死後も、限りなく本人に近い思考を行うAIを生み出すことができる。この技術が実用されれば、遺族の悲しみを軽減することも可能だ。」と書かれていた。今となっては当たり前の技術となっているが、ユウトの父が生きている頃はまだこの技術は実用に足るものではなかった。もし、父が生きていたらとユウトは想像を巡らせる。そして、このような技術を提唱した柴波という人物が本当に今回の事件を主導しているのか?と疑問に感じる。そのとき、署内に警報が鳴り響く。MELROIDの暴走が全国各地で同時に発生したのだ。MST長官は、全隊員とそのMELROIDに対して、グループを組み、暴動の鎮圧にあたるよう指示。また、ユウト個人には、倉間が開発した装置を使用し、ゲンジや他のMELROIDとは別行動をとるように伝え、本部近くの廃ビル「カドタビル」を襲撃しているMELROIDを無力化させるように言い渡す。カドタビルにて、各フロアにいたMELROIDを停止させていくユウト。屋上階まで、たどり着くとそこには、MELROIDゼロともう一人、仮面を被った男がいた。「あんたが柴波純一郎か?」と問いかけるユウト。男はニヤリと笑い、仮面を外す。その素顔は間違いなく、柴波純一郎その人であった。「俺は今から、この国を変えてやる。邪魔をするな、浦部ユウト!」と叫ぶ柴波。同時に、ゼロが凄まじい速さで肉薄し、ユウトを地面にたたき伏せる。ユウトも倉間の装置を使い、ゼロを停止させようとするが、ゼロは一向に動きを停止させない。柴波は「無駄だ!その装置ではゼロは止まらない!ましてや、俺の野望を止めることなんて不可能だ!俺は、今からMST本部を壊滅させ、MELROIDを使ってこの国を掌握する!」と言い、ゼロと共にその場を去る。身体に痛みを感じながらも、ユウトは立ち上がり、柴波を追いかける。すべては、父が望んだ世界、MELROIDと人が共存する世界を守るために...
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