第六章「Reversed Utopia」

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第六章「Reversed Utopia」

インフィニティーを停止させたのは、ユウトだった。倉間の装置を使ったのである。長官はユウトに問いかける。「なぜその男を助けたのだ!?」ユウトは答える。「俺は、MELROIDが人を殺めようとしたから止めただけです。」柴波は、ユウトに礼を言う。ユウトは、ゼロの攻撃がいつも明らかに手加減されていたこと、柴波が直接本部の電波塔を破壊しようとしないことから、彼の目的が、ユウトたちへの攻撃でもMSTの壊滅でもないことだと考える。しかし、柴波はそれを否定し、目的の部屋「資材庫D」の扉を開け放つ。しかし、そこには何もなく、ただ大きな穴が床に空いてるのみだった。「おい、瓦ヶ崎!どういうことだ!あれをどこにやった!」と後ろを振り向く柴波。そこには再起動を終えたインフィニティーが幾体も立っていた。ユウトとゲンジ、柴波とゼロは、長官の命に答えたインフィニティーによって穴の底に突き落とされる。 穴の底で目を覚ましたユウトは頭上に、今しがた落ちてきた穴を確認する。ユウトは自分の下敷きになった柴波をみて、落ちる瞬間を回想する。突き落とされた瞬間に、ゼロが期待に搭載されていたスラスターで浮力を得、マジックアームでユウトと柴波、ゲンジを捕らえた。しかし、地面目前だったユウトは、柴波につかまれたところまでしか覚えていなかった。そして、いま、柴波はユウトの下敷きになっていた。かろうじて意識はあるようだったが、身体のあちこちから出血していた。柴波に、どうして自分を庇ったのかと訊くと、柴波は「お前が、銃口を向けられていた俺を助けたからだ。これで借りは返したからな...」と答える。周囲は岩場で囲まれていたが、一か所だけ洞窟になっている箇所があり、そこには薄暗いながらも証明が取り付けられていた。柴波に肩を貸しながら、ユウトたちはその洞窟を歩き進む。道中、ユウトは柴波の本当の目的を知ることとなる。彼の目的は、資材庫Dに保管されていたはずの「ABCROID」の本体を探し、それを破壊することだという。ABCROIDとは、植物状態の人間に人工知能を接続させ、動かす技術のことだった。しかし、実験の段階で身体の持ち主の意思が脳に残ってしまい、人工知能が完全に機能できないことが発覚。柴波は実験をやめることを提案し、実験の続行を望んだ瓦ヶ崎と対立したのである。
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