最終章「Our Future」

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最終章「Our Future」

制御端末に入力しようとする瓦ヶ崎。寸前のところで、ゼロのレーザーを用いて制御端末のコードを焼き切られてしまう。「罪を認めて投降してください、長官。」ユウトは瓦ヶ崎の前に立ち、そう告げる。瓦ヶ崎は一瞬あきらめたかのように見えたが、懐から拳銃を取り出し、ユウトに向けて射撃しようとする。その時、誰かがユウトを突き飛ばした。そして、鳴り響く銃声、その数2回。ユウトを寸前のところでかばったのは、柴波だった。柴波の手にはピストルが握られており、その弾は瓦ヶ崎の手を打ち抜いていた。柴波もまた、瓦ヶ崎の銃撃を胸部に受けてしまった。ユウトは、どうして自分をまた庇ったのか訊く。柴波は、「別にお前を庇いたくてやったわけじゃない。何となくだ。」と誤魔化す。柴波は最後の仕事と称し、自身と制御装置をつなげる。柴波の正体は、実は人間ではなく、人間としての理性を維持したまま、同時に人工知能による思考を並列させることができる柴波自身が理想としていたABCROIDだったのだ。自身の脳構造と不完全なABCROIDの脳構造を同期させ、瓦ヶ崎によって改造されたABCROIDを正規の状態へと復元する。その際、「さっき言ったことは嘘だ。本当は、俺とお前が、同じ夢をもっていたからだ。ロボットと人間とが共存できる世界を作る、それが俺の夢だったのさ。お前だったら、俺の意思を継いで、その世界を完成させてくれるって信じている。頼んだぞ、ユウト。」と言い残し、柴波は息を引き取る。 瓦ヶ崎は、逮捕され事件は終わりを迎えた。だが、MELROID開発チームは柴波の残したABCROIDをどうするか答えを出せずにいた。ユウトは、柴波の言葉に父の面影を感じ取り、いつか自分も彼らのようにMELROID開発チームに入りたいと思いつつも、今自分にできることが何かを考え、父や柴波の思いを無駄にしないようにMSTとしての任務に全力を注ぐことを決める。
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