550人が本棚に入れています
本棚に追加
/464ページ
*
その後、小南と星宮の美術部への入部は地味に学校中に知れ渡ることになるのだが、ゲーム部の時ほどの混乱が起こることはなかった。
もうほとんどの新入生が部活に入り終わった時期でもあったし、小南という猛獣のようなガーディアンがいることも認識され済みだったからだ。
それでも多少増えはしたが、星宮は人気者のため忙しいし、小南も星宮が行かないのであれば来ないしで、二人は半ば幽霊部員な存在となった。
そういう理由で、結果的に部員数は微増するにとどまった。
「やっぱあいつ上手いよな……」
あっという間に一年は過ぎ、もう来週に来年度の入学式を控えている。
慌ただしさがただよう空気の中、俺はいつも通り美術部準備室にいた。
その自分しかいない部屋で、写生大会の絵と、まれに部活に参加した時に小南が残した作品を並べてみて、感想が思わず口をつく。
(小南は進学どうするんだろう? ……やっぱり星宮と同じとこ受けるのか? 星宮が受験しなくても、奴個人で美大を受けるのも全然アリと思うんだが……)
小南と俺の一年目は「副担任と生徒」「美術部顧問と部員」、という正しく理想的な関係で終わることができた。
最初のコメントを投稿しよう!