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「星宮センパイは蹴落とすんじゃなくて、友好関係を築いて利用する方向へ。小南センパイも同じような感じですかねー★」
「ふーん。それはまたどういう心境の変化だ?」
利用する、というのもいい意味の言葉ではないので、軽い口調は崩さずに探りを入れる。
「そっちの方が簡単だし、長期的に考えて得だと思ったんです★ あとはまぁ、接してみていい人だったので」
冷蔵庫から取り出したコーヒーを紙コップにそそぎながら、四ツ橋の話を聞く。
「可愛らしさはボクのが上と思うんですけど、星宮センパイはそういう人当たりのいいところ含めて『女王』なのかな? て」
「星宮はコミュ力高いからなー」
「それに今の学校でのボクの周り、しもべが多くて便利なんですけど、中身も外見も猿ばっかりで見ててキツいんですよねー……★」
背を向けていても、四ツ橋が盛大にため息をついたのが分かった。
「四ツ橋は唯美主義だか耽美主義だかだもんな。――ガムシロとミルクいる?」
美少年好きの佐藤先生も「豊作だった去年の反動か、今年の新入生はイケメン率がかなり低い」と飲み会でぼやいていたのを思い出す。
「ひとつずつお願いしまーす★ ――キレイでカワイイと、カワイイでキレイは最強ですもんっ★」
「さいですか。ほら、どうぞ。他の生徒にはナイショな」
「はーい★ いただきまーす★」
パイプ椅子に座っている四ツ橋の前に、コーヒーをいれた紙コップとマドラー、要望通りの数のガムシロップとミルクのポーションを置いてやる。
「小南センパイについてはアレです、アレ。星宮センパイからボクへの、宗旨替えさせるのはあきらめました」
四ツ橋はさっそくガムシロップのポーションをあけて、中身を紙コップにそそぎ込む。
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