二年生、夏~四ツ橋凛・後編~

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「宗旨替えて……。宗教の教祖か、お前らは?」 「崇めるヒトがいるなら、なんであろうとそれはそのヒトにとって神様じゃないですか★」 「四ツ橋てたまに外見からは想像もつかないようなこと言うよな……」    ミルクのポーションも入れたことにより、水面がマーブル模様になったコーヒーに、四ツ橋はマドラーを突っ込む。   「もっとボクのこと誉めて下さっていいんですよ、先生★ ――でも本当に小南センパイて、星宮センパイに対してそんな感じじゃないですか」 「まぁ、そうだな」 「星宮センパイさえ絡まなければ、ボクにも優しくしてくれますし。絡むと途端に言葉が通じなくなって地獄ですけど。その地獄をこえて宗旨替えさせるのは、労力に見合いませんもん!」    くるくるとマドラーで紙コップの中身をかき混ぜ、紙コップの中身をひと口飲んでから四ツ橋は言葉を続ける。   「あ。一応言っておきますけど、ボクはもちろん小南センパイを怒らせるような下手は打ってませんよ★ センパイを観察しての見解です★」 「人間観察が趣味です、とか言わないでくれよ? 先生はそういうタイプ嫌いだから。それにしても――狂信者、ね……」    同僚たちが小南のことを話題にする時、必ずといっていいほど出る単語が何となく口をついて出る。   「どういう経緯でセンパイたちがあんな関係になったかは、聞いても教えてもらえなかったんですけど、小南センパイに本当にぴったりですよね、その言葉」    紙コップを両手で持ったまま、四ツ橋はちょっと考えるような様子を見せたが、すぐに笑顔を作って話を続けた。
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