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「そういうことで、あの二人に対しては『カワイイ後輩』であることが、一番メリットが高いと判断したのです!」
「なるほどな。平和が一番だし、是非そうしとけ。俺の手をわずらわせるなー」
四ツ橋が二人に向けていた悪意が破棄されたことに安堵し、四ツ橋の頭をぐしゃぐしゃとなでる。
「もう! セットが崩れるんで雑になでないで下さい! 怒りますよ! ――怒るといえば佐藤先生なんですけど、あの先生てばキモいというかヤバイていうか――」
慌てて俺の手から逃れ、乱れた髪の毛を直しながら四ツ橋は新しい話題をふってくる。
(……四ツ橋、しもべはいても友達はいないみたいだからなぁ。そこを無意識に星宮に攻略というか懐柔された、ていう自覚はあるのかな?)
佐藤先生は一学年の『姫』である四ツ橋にも接触を図っている、という内容を聞きながら俺は内心で苦笑する。
俺だってただ指をくわえてこの一ヶ月過ごしてきたわけではない。
小南を四ツ橋の悪意から守るために、まず彼のことを知らないといけないと考えて、瀬尾にも協力してもらい密かに色々調べたのだ。
その結果のひとつとして、四ツ橋はその個性と性格、価値観故に「友達らしい友達が、少なくとも学校内にいない」ということが分かった。
だから俺としゃべりにここに来るのだろうし、気さくで顔面偏差値の高い星宮へ抱く感情が、敵愾心から好意へ変化したのも妥当だと思う。
(小南もつきまとう四ツ橋に戸惑ってはいたみたいだけど、無下にはしてなかったし、星宮のオマケの結果だとしても、上手い方向に落ちついて良かった……)
ぽんぽんと話題が変わっていく四ツ橋の話に適当に相づちをうちながら、俺もついでいたコーヒーに口をつけた。
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