二年生、夏~四ツ橋凛・後編~

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「なら一緒に帰りましょー! 小南センパイ★」    まるで恋人のように、小南のたくましい腕に四ツ橋が自分の腕をからめる姿に、モヤっとする。   「お前ら本当に何しに来たんだよ……」    あきれにティースプーン一杯程度の嫉妬をまぜて、俺の横を通り過ぎようとした二人に言えば、小南が真横よりやや後ろでぴたりと立ち止まった。   「あ、そうだ」    何か思い出したように彼はそう言い、俺が着ているワイシャツの袖をぐいと引っ張ってきた。   「――タバコやめたか?」    俺の肩口に顔を寄せ、小南は俺のワイシャツの臭いを嗅ぐ。  胸ぐらを掴まれてメンチを切られる時以外での、こんなに近距離ははじめてで、心臓が跳ねた気がした。 「……まだ全然臭う……」    不愉快そうな残念そうな、耳元近くでつぶやかれる低い声が色っぽい。  小南からは、髪を整える時に使用していると思われる整髪料のにおいがした。   「本数はだいぶ減らしたんだけど……」 「くせぇからさっさと禁煙しろよな!」 「えー? 何ですか何ですかー?」    お互いに少しだけ振り返るような格好で会話している俺たちに、小南を挟んで俺の逆にいた四ツ橋が割り込んでくる。   「タバコは有害だから、吸うのヤメロて話」    小南はワイシャツから手を離し、俺といつも通りの適切な距離をとる。  そして四ツ橋に三次喫煙の有害性のかなりふわっとした説明と、そういう理由で俺が煙草をやめるという約束をした、という解説をする。
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