二年生、夏~四ツ橋凛・後編~

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「先生の年齢、おいくつでしたっけ?」 「今年で三十一。お前たちとひと回り以上違うんだぞ」    自分で口に出して言ってみて、あらためて小南との歳の差に愕然となる。  俺と小南のその差は約十五もあるのだ。   「実年齢より若く見えますね。ボクは先生のこと、まだ精々二十代半ばくらいかと思ってました」 「昔から童顔とは言われるけど、約五歳若く見える三十路なんてたくさんいるだろ」 「そうかもしれませんけど、いいことじゃないですか!」 「いや別に全然……」    過剰に老けて見えるのはどうかと思うが、教師というものは、若く見えると生徒と保護者にナメられる節がある。  若く見られることで損をしたことはあるが、特に得をした記憶はない。   「とにかく! 分類するとキレイ系の先生は、確かにボクら『姫』と比べると劣りますけど、全然悪くないと思います! 自信持って下さい★」 「どういう自信を持てと……」    星宮と系統が同じだから、なんてそんな根拠薄弱な主張をされても……と思う。   「ナツメ先生は、ボクの厳しく確かな審美眼によると、校内のイケメン先生ランキング堂々の第一位なんですから! 口元の黒子もえっちでイイと思いますし★」 「……あー……誉めてくれるのはありがたいけど、もういいわ、四ツ橋」    向き合って会話するのに疲れてきたのでそっぽを向けば、腿の上に投げ出していた俺の手を、四ツ橋がぎゅっと両手で握ってきた。
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