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ペットボトルを放り捨てて、なっちを今すぐ今ここで抱きしめたい!
――が、メールを送り終えたらしいオギーが下から発言してきて、俺は存在を脳内から吹っ飛ばしていた、もう一人の友人の存在を思い出したので、ぐっと我慢する。
「礼ぐらい言わせろよ。俺はあの時助けてもらって、瀬尾にすげー感謝してるんだからさ!」
なっちがそう言って俺へ拳を突き出してきたので、俺も右手を握って彼の拳に軽く当て、キザっぽくウィンクする。
「そんじゃ、どーいたしまして。――棺から起こすことは出来なくても、猟師も中々役に立つだろ?」
するとなっちは俺へ、にっこりと花のような笑顔を向けて言った。
「うむ! 白雪姫直々に誉めてあげよう!」
この日俺は帰宅してから、「あの時オギーのことは気にせず、なっちに抱きついても許されたのでは?」と気がついたのだが、遅すぎた。
ちなみに『ドキッ☆男だらけの白雪姫』は、文化祭の劇部門で二位をとった。
約束通り担任はアイスをクラス全員へおごることになり、「今月の小遣いの残りがヤバイ」と言いつつ苦笑していた。
*
(……学校一かは分からないけど、クラスの女子の誰より一番、可愛いよな?)
文化祭終了から二日後の夜、俺は自宅の己の部屋で一人、携帯電話のディスプレイをじっと見ていた。
ガラケーの画面に映し出されているのは、女子制服を着た不機嫌そうななっちだ。
(なっちには絶対秘密だし、「撮るなと言ったろボケ!」とも思うけど、撮影者グッジョブ……!)
そう。なんと俺はあの時のなっちを隠し撮りした不埒者から、画像をこっそり回してもらっていたのだ。
俺が現役高校生だったころのガラケーの写メなんてまだまだ画像が荒く、スマートフォンで撮った写真と比べたら、ガサガサで見れたものじゃない。
まだ画像加工アプリなんてなく、角度や髪等で誤魔化して盛るのが主流な時代だったと記憶しているので、回してもらったのは加工アプリを挟まない、編集一切なしのモノだ。
つまり素のレベルを問われる画像だが、前述した通り女装したなっちはとても可愛いかったので、無加工でも何の問題もなかった。
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