チャラ男猟師と不機嫌な白雪姫(SS)③

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(ブラジャーつけてパット入れてくれてたら、見た目完璧理想の女の子だったのになぁ! ……なっちは絶対嫌がるだろうから、仮に衣装として用意されてても、つけてくれなかっただろうけど……)  脳が勝手に、俺の理想的女性ボディを持つなっちを想像してしまい、股間がじわりと熱を持つ。   (オイオイオイオイ! 待てよ俺! いくら顔がタイプでも、男の友達相手に勃てちゃ駄目だろ?! 俺はホモじゃねーんだから!!)    自分の身体の反応に驚き、慌ててふたつ折り携帯をぱちんと閉じ、女装なっちの画像を視界から消す。  しかし一度その気になってしまった熱は静まらず、俺は仕方なくエロ本を取り出し、抜いて寝た。  ……目はエロ本を見つつも、脳裏にはなっちの顔がちらつき、翌日彼と顔をあわせた時、俺は一人でとても気まずくなった。   (ほぼなっちで抜いたようなもんなんだから、俺ってばさっさとあきらめて、認めりゃいいのによ)    大人になった俺はこのことを思い出すたび、微笑ましくも苦々しい気持ちになる。   (なっちを好きだと認めて、リア高校の時に告白してたら、両思いになれてたのかな……)    そんなifを、時々考えてしまう。  俺が「自分はなっちに恋をしている」、という事実を認めざるを得なくなるのは、白雪姫の舞台以降に起きた、別件のとある出来事である。  けれど「なっちを恋愛的に好き」と認めることは出来ても、「男を恋愛的に好き」ということはどうしても受け入れられず、納得出来なかった。   (実際三十路こえた今でも、俺が恋愛感情と性欲を持てる男は、なっちだけだし)    俺の人生においてなっち一人が例外なだけで、俺は現在進行形で己をゲイだとは思っていない。  飲み会時にノリや勢い等で、男同士でキスをするようなこともあったが、その時は内心、いつもかなり嫌だった。   (ダチとして好きな男は何人もいるけど、そいつらに対してはなっちへの好きみたいな感情は、全ッ然わかないんだよなー。何がどうして自分がなっちへ恋をしたかは、いまだにあんまりよく分からないんだよねー……)    高校生の俺はなっちへの恋を、「ブスに囲まれているせい」とか「一時の気の迷い」と押し隠し、告白をすることはなかった。
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