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「そういうことでアタシ、奴を立ち上がらせるために、『起きろー!』て、腕とか顔とか叩いたんだ」
吉永が酔っ払いの身体に刺激を与えると、彼は会話可能な程度までに意識を取り戻した。
しゃべれるようになった彼の第一声は、「あれ? 棗は?」だったという。
「『急用で帰った』と教えてあげたら、突然『クソー!』とか叫んで、ソイツってば怒り出したのよ。イミフすぎたから、『アンタ何で怒ってんの?』と訊いたワケ。そしたら……」
下品な単語のオンパレードだったため、途中多々口ごもりながらも吉永が教えてくれた酔っ払いの暴言は、いまだに思い出すだけで腹が立つ。
『えぇー?! 棗、まだ俺のチ○ポしゃぶってくれてねーのにぃ? 勝手に帰るなよー! イ○ポかよ、バァカ!』
『仁井村とヤりまくりのガバガバ○ツ○○コ、使ってやろーと思ってたのになぁー!』
『あーぁ、せっかく俺のビッグマグナムかしてやるって言ってやったのに、手○キすらなしかよー。ツマンネェ奴!』
『ホモの癖に生意気なんだよ! マジキメェわぁ~。吉永もそう思わねぇ?』
吉永はしばらくこのような暴言を呆然と聞いていたのだが、同意を求められた時にハッと我に返ったそうだ。
「アタシすんごくムカついたから、『黙れこのクズ!』と言って、ソイツの横っ面をビンタしちゃった!」
数々の最低な発言にキレた吉永は、そのまま酔っ払いをそこへ置き去りにし、一人で打ち上げ会場へ戻った。
放置された暴言男は親切な誰かにより、打ち上げ後に回収されたらしい。
「打ち上げの翌日、馬鹿に酷いこと言われた棗が心配だったからメールしたんだけど、もうアドレス変えられてて、届かなかった」
そのことで吉永の酔っ払いへの怒りが再び燃え上がり、そいつの電話番号をたまたま知っていたこともあり、彼女は怒りに任せて彼へ電話をかけた。
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