二年生、秋~前編~

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 *    俺と担任のこの読みは、当然のように当たった。  というか最初から、喧嘩としては成立していなかった、というのが正しいだろう。  瀬尾が目撃した金曜日はともかく、恋人が出来て以降、星宮は小南のことを徹底的に無視をしていたが、彼以外のことに対しては機嫌が良かった。  小南はそんな星宮に対してひどく萎縮していた。  星宮がいない時の小南はただひたすらに機嫌が悪く、時折情緒不安定になった。   (何とか仲直りをさせてやりたいと思って、星宮にそれとなく言ってみたけど、その話題になると機嫌が急転直下してはねつけられたからなぁ……)    星宮に恋人が出来たことと過ぎていく時間により、ジュリエットへの熱狂はおさまり、それによって小南が害虫を駆除する騒ぎも格段に減った。   (嫌われていても星宮の害虫はしっかり駆除するのは偉いよなぁ。そこまで尽くす信者なんだから、もう許してやればいいのに)    端から見ている俺としては、星宮が無視を続けることを理不尽に思ってしまう。  揉めている原因を知らないから、言えることなのかもしれないが。  情報通の瀬尾や四ツ橋、二人と仲の良い生徒たちに原因を知っているか聞いてみたが、皆一様に「こっちこそ知りたい」と言うばかりだった。  本人たちにもそれとなく探りを入れてみたのだが、どちらも口を割ることはなかった。
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