二年生、秋~後編~

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「そうだよ! お前、こんなところで何酔っぱらって道で寝てんだよ?!」    泥酔して道端に倒れている姿など、保護者や学校関係者、いないとは思うが生徒に発見させるわけにはいかない。  元々素行の悪さもあるので停学は当たり前、下手をしたら一発退学になってしまうかもしれない。   「…………しにたい……」 「は?!」 「もうしぬから、ほっといてくれ……」    自殺志願の言葉に戸惑うが、どうしてかの問答をしている場合ではない。  この場所に長時間居座るのはマズイ。  可能な限り早くこの場から立ち去るべきだ。  何の気なく歩いていた俺が気がついたくらいなのだから、歩行者からこの場所は案外目につきやすい場所に違いないのだろうから。   「死ぬ前にちょっと先生と話してくれよ。俺に遺言残しとけ」    無理矢理小南を立ち上がらせ、足元のおぼつかない彼に肩を貸しながら、どこへ一時避難するか考える。  第一に、高校生という身分で泥酔している小南を、衆目から遠ざけないといけない。  第二に、彼の酔いを覚まして事情を聞く必要がある。   (これ見られたら俺の立場が危うくなりそうだけど……まぁいいか。教職に執着はないし)    考えた結果、すぐ近くにあるカラオケボックスへ行くことにした。  理由はどうあれ『教師が生徒』を『夜に密室連れ込む』行為なので、見つかれば俺の首が飛びそうだが、小南を優先した。
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