エピローグ

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 失恋確定と理解した翌日に恨み言でなく、懐かしむように話せてしまう四ツ橋は、本当に心が強いなぁと思う。  しかも話しかけている相手は、決め手になってしまった俺、という状況なのに。 「だからボクは小南センパイへの恋を、綺麗にラッピングして思い出の棚にしまって、さっさと次の恋へ進むのです」    もしも俺が四ツ橋の立場なら、最後通告を受けた翌日に、彼のようにふるまうのは絶対に無理だ。  たぶん自室のすみっこで、膝を抱えて泣いているに違いない。   「センパイがボクをふったことを後悔するくらい、更にカワイさにみがきをかけて、もっと素敵な相手を捕まえてみせるんですからねッ!」    四ツ橋は胸の前で、小さく可愛くガッツポーズをとる。   「ということで、ナツメ先生。ボクが卒業するまで後一年、ここに変わらず男子会をしに来ますから、よろしくお願いしまーす★」    この報告から約半年後、彼は「イケメンリッチな、社会人の恋人が出来ました★」と、男子会で俺に教えてくれたのだが、その詳細は割愛する。  *    卒業後、小南がはじめて母校を訪れたのは、ゴールデンウィークに入る数日前だった。   「もっと早く来たかったんだけど、忙しくてさ」    以降小南はいつぞやの宣言通り、ちょこちょこ母校へと遊びに来た。  春休み中に免許を取ったとのことで、ハーレーにまたがって。  (ハーレーは入学祝いとして、父親に買ってもらったそうだ。さすが金持ちのボンボンである)  大抵はサイドカーに星宮や別の友人を乗せて訪れたが、まれに一人で来ることもあった。  突然来る時もあれば、事前にダイレクトメッセージで予告してきてからの時もあった。  小南からのダイレクトメッセージはこの用以外でも、結構頻繁に送られてきた。  「おはよう」や「おやすみ」といった挨拶や、飯テロ的な写メ、授業で描いた絵の画像などを彼は送ってきて、俺もそれに返信をした。  電話も一ヶ月半に一回くらい、小南からかけてきて、お互いの近況等の他愛ない会話をした。
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