1.プロローグ

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1.プロローグ

「ねえ、今日この後マック行くひとー」 「あ、行く行く!」 「えーっ今日は何となくモスの気分なんですけどー」 「お、いいねえ。じゃ今日はモスにしよう」 「ね、サチコも行くでしょ?」 「あ…、うん…」 ある水曜日。 クラスの仲良のいいグループから放課後のファストフード店に誘われたサチコは、曖昧に頷いた。 “今日こそは早く帰って、残りを仕上げなきゃいけなかったんだけどなあ” そう思いながらも、なんとなく断れる雰囲気でもなく、そんな勇気もないので、トボトボとみんなの後ろについて歩く。 高校1年生の2月。もうすぐ2年生だ。このクラスで過ごすのもあと少し。 そう思えばみんなと残り少ない一緒の時間を過ごすのも悪くない。 “平日”しか会わない友達なんだし。 そう思えば、平日の放課後を一緒に過ごすのも必要なことのように思えてくるから不思議だ。 サチコは、そう思い直し、前を歩くみんなに追いつくために駆け出した。 “ま、急げば週末までには間に合うでしょ”     
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