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槇村サチコは、とある地方都市にある私立晴明館高校に通う1年生。
普通の女子高生だ。
中学までは少し離れた街の中学校に通っていたが、高校進学のタイミングで運悪く父親が転勤になり、この街に引っ越してきた。
サチコは小学校からずっとサッカーを続けていて、中学校までは女子サッカー部に入っていた。
そして、高校でもサッカーを続けようと、女子サッカー部のある高校を受験し、合格もしていた。
父親の転勤のせいで3月ギリギリになってから新しい街で受験し直す羽目になってしまったが、そんなタイミングで生徒を受け入れてくれる高校は限られる。
父親の会社のツテを使って何とか3月下旬になってから唯一受験させてもらえたこの高校には、女子サッカー部がなかった。
クラブチームに入って続ける選択肢も無い訳ではなかったが、サチコ自身、そこまで自分が上手い選手とも思ってなかったのと、親に会費まで払ってサッカーしたいと言い出せなかったこともあって、『これも運命』と、自分のサッカー選手としての“引退”をあっさり決めてしまっていた。
高校生活が始まると、ヘタクソなりに小学校からずっとサッカーひと筋だったせいか、部活のない高校生活はむしろ新鮮で楽しかった。
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