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「それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「もし帰ってきたくなったら、いつでも帰ってきていいからね」
「ありがと、イツカ」
「あ、そうそう」
「?」
「あなたが入ってたカプセルに、収納スペースがあるのを見つけたの。そこにこれがあったわ」
「……この板は何?」
「……アカリ様」
「わっ、板がしゃべった」
「板じゃないわ。それはスマートフォン。つい最近まで主流だった携帯端末よ。アカリの名前が入っているってことは、あなたのものね」
「へえ、これが、携帯端末」
「私の動力は蓄電池。ソーラーと振動、その他もろもろで勝手に充電できますので、方のポケットにでも入れて持ち運びください」
「あ、このポケットはそのためにあったのか」
「さて、スマホも渡したし、あとは行くだけね。忘れ物はない?」
「うん。……いや、やっぱ二つある」
「え!? 二つって、何を……」
「クラシキ」
「あっ……。まったく、いきなり抱き着いてくるなんて、私が対応できなかったらどうしてたのよ」
「そんなことはないよ。イツカも、ハグして」
「わかった」
「……」
「……がんばれ。私たちはいつでも君の味方だ」
「…………」
「おっと、泣かせてしまったか!?」
「……ううん、旅立ちで泣くなんてカッコつかない真似、私はしないもんね!」
「……うん」
「それじゃあ二人とも、行ってきます!」
「行ってらっしゃい」「行ってらっしゃい」
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