第三章

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「……ねえ、ゴロー」 「なんでしょう?」 「ここ、ほんとに空港に向かう道なの? 山だし、もう日も沈んできて暗いんだけど……」 「ここから空港までだいぶ遠いので、足を確保しなくてはなりません」 「足?」 「交通手段です。こちらのほうに、まだ使用可能な車の反応があるのです」 「へえ、その反応って、どこなの?」 「右側二百メートルの地点、時速四十キロでこちらに向かってきます」 「もしかして、この光?」 「そうですね、これがヘッドライトです」 「って、このままだと私轢かれるよね!?」  キキィィィィィィィィィ! 「ばっきゃろう! 危ねえだろうが!」 「ご、ごめんなさい!」 「……見ねえ顔だな」 「あ、はい。私、アカリって言います。世界を見るために空港に行きたいんですけど」 「……」 「あのー? ……ん? 喉に機械?」 「今から夜だってのに行くつもりか! 馬鹿野郎! もう暗いから今日はうちに泊まってけ! あと人にくっついてる機械に四の五の言うな!」 「ぎゃぁぁぁ!」 「うるせえ! 見ての通り助手席は荷物でパンパンだ! 荷台に乗れ! 振り落とされねえように気ぃつけとけよ!」 「は、はいぃぃ!」 「これは俗にいう軽トラですね」 「ゴローは黙ってろ!」 「……? 私、ゴローの名前、呼んだっけ?」 「ええ、さきほど」 「いや、そうじゃなくて」 「さっさと乗れ!」 「す、すみませんんん!」
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