0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ねえ、ゴロー」
「なんでしょう?」
「ここ、ほんとに空港に向かう道なの? 山だし、もう日も沈んできて暗いんだけど……」
「ここから空港までだいぶ遠いので、足を確保しなくてはなりません」
「足?」
「交通手段です。こちらのほうに、まだ使用可能な車の反応があるのです」
「へえ、その反応って、どこなの?」
「右側二百メートルの地点、時速四十キロでこちらに向かってきます」
「もしかして、この光?」
「そうですね、これがヘッドライトです」
「って、このままだと私轢かれるよね!?」
キキィィィィィィィィィ!
「ばっきゃろう! 危ねえだろうが!」
「ご、ごめんなさい!」
「……見ねえ顔だな」
「あ、はい。私、アカリって言います。世界を見るために空港に行きたいんですけど」
「……」
「あのー? ……ん? 喉に機械?」
「今から夜だってのに行くつもりか! 馬鹿野郎! もう暗いから今日はうちに泊まってけ! あと人にくっついてる機械に四の五の言うな!」
「ぎゃぁぁぁ!」
「うるせえ! 見ての通り助手席は荷物でパンパンだ! 荷台に乗れ! 振り落とされねえように気ぃつけとけよ!」
「は、はいぃぃ!」
「これは俗にいう軽トラですね」
「ゴローは黙ってろ!」
「……? 私、ゴローの名前、呼んだっけ?」
「ええ、さきほど」
「いや、そうじゃなくて」
「さっさと乗れ!」
「す、すみませんんん!」
最初のコメントを投稿しよう!