第三章

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「ただいま」 「おじゃまします。……って、おじいさんだけですか?」 「悪いか?」 「いえいえいえいえいえ!」 「……そんなおびえるな。上がってちょっと待ってろ」 「は、はい……」 「ほれ、飯だ」 「おお、野菜」 「ごはん、野菜、みそ汁、肉。これが日本食ってもんだ」 「本で見たのと一緒だ……」 「……なあ、お前さん。どういう経緯でここに来た?」 「え? それは世界を……」 「ああ、聞き方が悪かった。どうやって、生き残った?」 「……それはですね」 「そうだったのか」 「はい。私自身、育ててくれた二人から聞いた話なので、本当かどうかはわかんないんですけど、二人はうそを言うような人じゃないので」 「そうか、そりゃ、……うん」 「……? どうしたんです? おじいさん」 「……子供はもうそろそろ寝る時間だ。風呂入ってとっとと寝ろ」 「お風呂まで入っていいんですか?」 「もうここまで世話になっといて、そんなところで遠慮するな」 「……五右衛門風呂ですか?」 「普通のバスタブじゃ、ぼけぇ!」 「ご、ごめんなさいぃぃ!」
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