第一章

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第一章

 異変から一週間後。  空を覆っていた雲が裂け、神々しい光のベールが地上へと垂れる。  地上を歩く白銀の人型機械は、空からの光を跳ね返しながら進む。  大抵の男を上回る身長と重々しくしっかりしたボディは、人が見たら相当の迫力があっただろう。  と、とある家と家の間で、人型機械は立ち止まった。 「全体発信。こちらKYM-1205 K-1路地にてカプセルに内包された、孤児と思しき人間を発見。あやしにかかる」  人型機械は、赤子を内包した恐竜の卵のようなカプセルを抱き上げる。  中の赤子はすやすやと寝息を立てている。 「個人返信。KYM-3925 了解した。そこから一番近い保護施設の情報を検索……確定、名称、アイビーの箱庭。位置情報をそちらに送信する」 「先ほどの全体発信を個人発信へと変更。援助感謝する。これより、その保護施設に向かう」 「相手方とのコンタクト成功。快く受け入れるとのこと」 「アポイントまで取ってくれたのか。KYM-3925へ、お返しは何がいいか?」 「そんなものはいらない。貴重な人類の生き残りだ。それを救えることが、もうすでにお返しと言えよう」 「そうか。それでは」 「ああ、それじゃあ」  人型機械は、通信を切るとゆっくりと歩き出した。
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