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こういうわけなんです。絵を外さなければ何の害もないわけです。夢に白い服の女が出てくることもないし、見知らぬ男に枕元に立たれることもない。それだけのことなんです。お客さん、あの絵の女はとってもきれいだけど、決して夢に見たいなんて思っちゃいけない。あの部屋で夢に出ていた女は、絵が飾られたときに青年だけのものになったんです。きっと、青年は夢の女の頼みを聞き入れて、あの肖像画を描き上げた。女はその礼に男を夢の世界へ連れて行ってしまったんだ。そんな気がするんです。だから、彼らの邪魔をしちゃいけない。
ね。どうです。いい話だったでしょう。ここまで知った上でね、借りてくれるというなら、お家賃はね、もう半額でいいですよ。いかがです。
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